特車申請について行政書士が徹底解説【2023年最新】
特車申請をするよう元受け会社に言われた。
手続きを自分でしたいけど、ルールが複雑で難しいなあ。
特車申請のことなら、行政書士にお任せください。
特車申請は、トレーラーなどが道路(高速・一般道を問わず)を通行する際に必要になる許可です。
許可なしで走行した場合は、罰金などもあります。
この記事を読めば、特車申請制度の概要がわかり、ご自身で申請もできるようになりますよ!
行政書士による特車申請の代行をご検討の方は、以下のリンクから業務内容・料金をご確認いただけます。
特車申請とは?|高速・一般道に関係なく通行に許可が必要
特車申請とは、トレーラーなどの大型車・長尺車が道路を通行する時に必ず取得しないといけない許可です。
高速道路と一般道に関係なく許可は必要です。
正式な名前は「特殊車両通行許可申請」といいます。
許可取得には、車検証などの車両情報を準備のうえ、国交省の「特殊車両通行許可オンラインシステム」から申請できます。
オンライン申請なので、直接国の窓口へ行くことなく手続きできます。
せまい道路に大型車を通行させたり、一定の大きさや重さをこえる車(特殊な車両と呼びます)を通行させるときは、道路管理者の許可を受けるように、道路法で定められています。
国土交通省関東地方政局 - 特殊車両通行許可制度について
特車申請をしないとどうなる?|業務が請け負えなくなるケースも
- 元受け企業から、「許可書を持っていないと輸送先の敷地に入れない」と言われた
- 許可をちゃんと取っていないと、ETC割引が停止される
同じ組合に所属する同業者に迷惑をかけたくない
輸送先の現場に入るために許可書が必要と言われ、ドライバーの勤務や配車に影響が出たケースもあるそうです。
また、高速道路をETCで通過する場合、事業協同組合に入り高速料金の大口割引を受けている会社さんも多いです。
許可を取っていない、また許可書不携帯で高速を走行するなど違反が続いた場合、加入している組合全体で高速料金の割引対象外となるケースがあります。
近年業界全体でコンプライアンス意識が高まっている傾向にあり、申請件数が増加しています。
特車申請が必要な車両はどんなもの?|一般的制限値を超える車両
- 幅が2.5mを超える
- 長さが12.0mを超える
- 高さが3.8mを超える
- 総重量が20.0tを超える など
特殊車両とは、「一般的制限値」という車両の長さや重量の基準を超える車両のことです。
特殊車両が道路を通行する場合は、高速道路・一般道・県道・市道など道路の種類を問わず、特車申請が必要になります。
「一般的制限値」では、車両の寸法(幅・長さ・高さ)や重量が定められており、基準を1つでも超える場合に必要です。
(幅が2.5m以内でも長さが12.1mなら、特車申請が必要です)
特殊車両の幅・長さ・高さ・重さについて|一般的制限値
一般的制限値では、車両の寸法(幅・長さ・高さ・最小回転半径)と車両の重量(総重量・軸重・隣接軸重・輪荷重)に関する基準があります。
車両の諸元 | 一般的制限値 |
---|---|
幅 | 2.5m |
長さ | 12.0m |
高さ | 3.8m |
最小回転半径 | 12.0m |
総重量 | 20.0t |
軸重 | 10.0t |
隣接軸重 | 18.0t ~ 20.0t |
輪荷重 | 5.0t |
基準の数値を一項目でも超えていたら、特車申請が必要です。
(基準値と車両の値がピッタリ一緒なら、申請は必要ありません。)
また重量の計算には、乗員と貨物を含んだ状態で計算するので、注意が必要です。
「総重量=車両の重量+貨物+乗員」となります。
※乗員は1人あたり55kgとして計算です。
特車申請が必要な長さ・重量については、詳細記事をご用意しています。
あわせてご覧ください。
特車申請の条件|夜間通行や先導者の配置が課せられる場合も
特車申請では、条件付きで許可が下りることがあります。
条件は、車両が橋や交差点などを走行する時に、特殊車両の重さ・長さなどに応じて課せられます。
課される条件は、軽いものから順にAからDまでの4パターン
特車申請の条件は、軽いものから順にA条件、B条件、C条件、D条件の4つに分かれます。
C条件とD条件が特に厳しく、先導車の配置や、夜間通行に限定されるなどの制約があります。
またA条件は特段条件が課されないものです。
条件の種類 | 重量に応じて課される条件 | 寸法に応じて課される条件 |
---|---|---|
A条件 | 条件なし | 条件なし |
B条件 | 徐行 連行の禁止 | 徐行 |
C条件 | 徐行 連行の禁止 誘導車の配置 | 徐行 誘導車の配置 |
D条件 | 徐行 連行の禁止 誘導車の配置 道路管理者が別途指定する条件(夜間通行など) |
通行条件を守らないといけない区間は、条件書に記載されている区間のみで大丈夫です。
例えば、夜間通行が条件となっている場合は、許可証に付属の条件書(C・D条件箇所一覧)に「次の区間を通行する時間は、21時から6時までとする。」と記載されています。(下の画像のとおり)
特車申請の条件については、詳細記事をご用意しています。
あわせてご覧ください。
C条件とD条件では先導車の配置が必要になる
C条件・D条件が課された場合は、先導車(誘導車)を特殊車両の前後いずれかに配置する必要があります。
誘導車は前後に2台配置する必要はありません。
- 橋や高架などを通行する際は、特殊車両の後ろにのみ誘導車を配置します。
(重量に応じて条件が課された場合) - 交差点やトンネルなどを通行する際は、前方にのみ誘導車を配置します。
(寸法に応じて条件が課された場合)
誘導車の配置が必要な区間は、許可書に添付されている「C・D条件箇所一覧」から確認できます。
D条件では夜間通行が課される|21時から翌6時までに限定
D条件では、通行時間帯が夜間(21時から翌日の6時まで)に限定されます。
(C条件でも、一部該当する場合があります。)
- 重量に関する条件で、D条件となった場合
- 寸法に関する条件がC条件で、かつ車両の幅が3mを超える場合
夜間通行が条件となっている場合は、許可証に付属の条件書に「次の区間を通行する時間は、21時から6時までとする。(別紙「C・D条件箇所一覧」に通行時間帯が記載されている区間又は箇所)」と記載されています。
特車申請の期間はどれくらい有効?|最大で2年間の許可が取得できる
特車申請で取得できる許可の期間は、最大で2年間です。
許可期間を最大の2年にする場合と短く設定した場合でも、申請手数料は変わらないため、とりあえず最大の2年で申請して問題ありません。
ただし、車両の条件によっては、許可期間は1年に制限される場合があります。
特車申請の許可期間はいつから?|許可希望日から2年間
特車申請の許可期間は、申請時の「許可希望日」から2年間です。
許可希望日は申請時に申請書に記載します。
審査に時間がかかり、許可希望日までに審査が下りなかった場合は、審査が完了し許可が下りた日から2年間の許可になります。
特車申請の期間については詳細記事をご用意しています、あわせてご確認ください。
特車申請の費用はいくら?|手数料は県道・市道を走るときに発生
特車申請では、国に支払う申請手数料が発生する場合があります。
具体的には、走行経路が国道など国管理の道路だけでなく、県道や市道も走行する場合に発生します。
二以上の道路について一の道路の道路管理者が行う第一項の許可を受けようとする者は、手数料を道路管理者(当該許可に関する権限を行う者が国土交通大臣である場合にあつては、国)に納めなければならない。
道路法第47条の2第3項
特車申請の手数料は、以下の計算で求められます。
申請手数料=申請台数×申請経路数×200円
「申請台数」はヘッドの台数です。
また「申請経路数」は往復を2経路として計算し、迂回路がある場合は1経路増加する計算です。
特車申請の費用・申請手数料については、詳細記事をご用意しています。
あわせてご覧ください。
申請手数料はいつ払う?|ネットバンキング・ATMでの支払いが可能
申請手数料を支払うタイミングは、「許可書発行の直前」です。
オンライン申請した後に審査され、無事許可が決定すると、国から納付書(納入告知書)が郵送されてきます。
手数料の支払いはPay-easy(ペイジー)での支払いに対応しています。
ネットバンキングやATMでの振込みが可能です。
また納入告知書を金融機関の窓口に持参して支払うことも可能です。
特車申請が間に合わない時の対策|対処法は全部で3つ
- 申請する窓口を吟味する
- 申請経路を見直す
- 更新申請する
申請期限まで余裕がない場合の対策として、大きく3つの対策があります。
ここからは、我々行政書士がよく使うテクニック「申請先を選ぶ」方法をご紹介します。
特車申請が間に合わない時の対処法|申請先の国道事務所を吟味する
少しでも許可までの日数を短くするために、申請先の整備局は慎重に選びましょう。
直轄国道(道路番号が1ケタ・2ケタの国道)を走行する場合は、全国の国道事務所どこでも申請できます。
そのため、空いている事務所に申請したほうが、審査の日数が短くて済みます。
申請件数の多い整備局・国道事務所は、その分人員も配置されていますが、審査まで日数がかかる傾向があります。
申請先を決めるには、整備局ごとの申請件数が参考になります。
特車申請が間に合わない場合の対策、その他2つの方法については詳細記事をご用意しています、あわせてご確認ください。
特車申請に違反したらどうなる?|高速料金割引の停止・罰金刑
特殊車両に対する取り締まりは、国交省(国道)とNEXCO(高速道路)による2種類があります。
- NEXCOによる取り締まり
→ETCコーポレートカードの「大口多頻度割引制度」の割引停止・利用停止 - 国交省による取り締まり
→通行中止、許可の取り消し、100万円以下の罰金など
NEXCOによる特車許可違反の取り締まりについて
NEXCOによる高速道路での取り締まりで許可違反が発覚した場合、ETCコーポレートカードの「大口多頻度割引制度」の割引の停止・利用停止措置などがとられます。
1回目の違反では、道路利用に関する「講習会」への参加が義務付けられます。
講習会に参加しない、また講習後も違反を重ねることで、高速料金の割引が停止される恐れがあります。
違反への措置 | 2年間での累計点数 |
---|---|
講習会への呼び出し | 30点 |
一部割引停止 1か月間 | 60点 |
一部割引停止 2か月間 | 90点 |
一部利用停止 2か月間 | 120点 |
全部割引停止 1年以内 | 割引停止期間中に一定の違反があった場合 |
全部利用停止 1年以内 | 割引停止期間中に一定の違反があった場合 |
多くの運送業者様が事業協同組合に加入されていると思いますが、「講習会呼び出し後にさらに1度違反になれば、組合脱退勧告を受ける」というルールの組合が多いようです。
特車申請の違反については、詳細記事をご用意しています。
あわせてご覧ください。
特車申請ゴールド制度とは?|高速道路で自由に経路を変えられる
「特車申請ゴールド制度」は、高速道路など一部の区間で走行経路を自由に選択できる制度です。
最大のメリットは、事故や渋滞に巻き込まれそうなときに、現場判断で迂回できることです。
特車申請ゴールド制度を利用していない場合は、特車申請の許可時に決められた経路しか走行できません。
特車申請ゴールド制度については、詳細記事をご用意しています。
あわせてご覧ください。
特車申請ゴールド制度のメリットは大きく2つ|通行許可更新の手続きが以前より簡単に
- 大型車誘導区間内なら、新たに許可を取得することなく自由に通行・迂回できる
- 許可の更新手続きが、従来より簡単になる
大型車誘導区間内の経路が事故などで渋滞により通行止めになった場合、新たに許可を取得することなく申請経路から迂回することができるようになりました。
また、通行許可の更新前には申請書が自動作成され、申請者のもとに自動メールが届きます。そして、自動メールに従ってワンクリックするだけで更新申請をすることができるようになりました。
経路を選択できるのは「大型車誘導区間」だけ|高速道路やバイパスなど
特車申請ゴールド制度では、「大型車誘導区間」内のみ自由に経路を選択できます。
高速道路やバイパスが「大型車誘導区間」にあたります。
大型車誘導区間は、特殊車両が通常の道路を通行する時に交通渋滞や事故の原因になることを防ぐために設けられています。
大型車誘導区間とは、道路の老朽化への対策として、大型車両を望ましい経路へ誘導し、適正な道路利用を促進するために指定された道路のことです。
大型車誘導区間とは 国土交通省関東地方整備局
大型車誘導区間は、特車申請をした車両のみが通行可能な場合もあります。
この場合、特車申請を取得していない車両は大型車誘導区間を通行できません。
よくあるご質問【特車申請についてのご相談】
さいごに
ここまで、特車申請の概要について解説してきました。
特車申請は、オンラインシステム特有の操作方法に慣れが必要です。
また年間を通して数十件の許可を更新して維持するなど、手続きが煩雑になりがちです。
手続きのプロである行政書士なら、このような問題を解決できます。
また当事務所なら、申請業務の内製化(社内の特車申請担当者の教育をアウトソーシング)するプランもご用意しています。
是非1度ご相談ください。
行政書士による特車申請の代行をご検討の方は、以下のリンクから業務内容・料金をご確認いただけます。